強迫性障害とは
強迫性障害(OCD)とは、決まった事柄への“過剰なとらわれ”と“止められない繰り返し行動”を特徴とする病気です。以前は強迫神経症と呼ばれ、全般性不安障害や社交不安障害などと並んで不安障害(より以前は神経症というもっと広いグループ)の一種と考えられていましたが今はそれらとは別種の病気と捉えられています。
OCDは決まった事に関して繰り返される「不安」が重要な症状であること、また他の不安障害との合併が多いことなどから不安障害とのつながりが確かに存在しますが、OCDの不安はその人自身の考えではないように湧き上がる(まるで外から心に勝手に入ってくるような)不安であり、また中には不安が薄くただ行動の繰り返しが目立つ場合があるという違いがあります。さらにOCDと不安障害を分ける根拠として、脳内で起きている病的なプロセスが他の不安障害とOCDでは異なる部分が大きいことが近年の研究でわかってきました。
強迫観念のパターン
OCDの過剰な不安・とらわれを強迫観念といいますが、強迫観念にはいくつかパターンがあります。①汚れてしまうのではないか ②人に迷惑をかける言動をしてしまうのではないか、③自分のミスで重大なことがおきるのではないか、④何ごとも正確にしないと気が済まない、⑤数字や色への極端なこだわり、といったものがよく見られる内容です。これらの強迫観念に呼応して繰り返しの行動(強迫行動)―例えば、何度も手を洗う、何度も確認行動をする、左右対称性などに過度にこだわって物を置く、などの繰り返し行動(強迫行動)がみられますが、ただOCDの中でも強迫観念が主体で行動は少ないタイプ、強迫観念が薄く行動が先立つようなタイプなど多様性がみられます。
なお、OCDの他にもこだわりや繰り返し行動が特徴的な疾患がありますが、これらはOCDと連続した仲間の病気と捉える見方が近年強まっています。例えば身体醜形障害(醜形恐怖;自分の外見が醜いと考える)、摂食障害(拒食症と過食症)、ためこみ症(価値のないごみなどを捨てずに溜め込む)、抜毛症などはOCDと関連した病気の群だと考えられています。
強迫性障害(OCD)の治療
OCDの治療では、抗うつ薬(SSRI)がかなり有効で、またそれと同程度に認知行動療法も有効性があることが示されています。