全般性不安障害とは
全般性不安障害といういまひとつわかりにくい病名は、半世紀前に米国で診断ガイドを作る際に造られた用語です。この病態を初めて提唱したのはかの有名なフロイトでした。フロイトは「不安神経症」という名前を出して、現代に通じる病気のありさまを詳しく書き記しています。全般性不安障害(不安神経症)は他の不安障害(神経症)と違ってこれが特徴というような特異的な行動や思考はありません。この病気の核心は、特定のことがら(例えば乗り物や、人前に立つなど)でなく様々なことがらに対して、慢性的な不安―とくに物事の展開を先取りした不安(予期不安)―が浮かんでしまい、生活に支障をきたすというものです。
全般性不安障害の原因
その不安は明確な原因・ストレスに発するものではなく、かなり自然発生的―生来的なものにみえる点で、適応障害などのストレスによって引き起こされる病気とは異なります。一方、うつ病との区切りはやや曖昧で、全般性不安障害の多くの方に抑うつ症状がみられ逆にうつ病の多くに不安症状がみられ、遺伝性においても両者は近しいという証拠がありますが、それでも主症状や経過が異なる(不安と抑うつ、慢性と一時性)という点からやはり2つは異なる病気とみなされます。
全般性不安障害の治療
治療面では、まず適切な受診になかなかつながらないという問題があります。全般性不安障害の方は多彩な不安の一つとして体の健康面への不安も多いため内科など他の科に受診することが多く、心療内科の受診につながりにくいといわれています。薬物療法としては、抗不安薬より抗うつ薬が優先されますが、「抗うつ薬」という名称が不安をあおるためか内服を怖がられることも多々あり、その場合は副作用に留意した少量の抗不安薬の治療を行います。同時に、心理カウンセリング(認知行動療法)による症状への自己対処法が有効です。